映画「名も無き世界のエンドロール」の原作は、行成薫著の同タイトルの小説です。
通常、小説が映画化される場合、時間の都合上、多くのシーンがカットされますが、本作品も同じように数多くの「原作にしかないシーン」があります。
目次(ショートカット)
原作小説「名も無き世界のエンドロール」|映画にはないシーン&描写
映画にはないシーン&描写【一覧】
原作ならではのシーン&描写
- 板金塗装屋の新しい名前を「AUTO SHOP JIM」にした理由を説明するシーン
- ヨッチの親に関するエピソード
- ヨッチをいじめた奴らへの仕返しのシーンがかなり詳細に描かれている
- 行方不明のマコトをキダが見つけた時、マコトの顔面は黒人に殴られボコボコ状態
- 中学校時代、ヨッチが教頭の発言に噛み付くシーン
- キダの両親が亡くなった時の様子を語るシーン
- ヨッチが、キダとマコトに出会った時の様子を映画「レオン」と重ね合わせ話す
- ヨッチの「1日あれば世界は変わる」という言葉の出どころが明かされる
- マコトがサンタクロースの衣装をキダに渡す|キダがマコトに盗聴器を渡すシーン
- キダの友達の名前が出てくる
- マコトの母親が精神的に病んでいる、という描写
- ヨッチが轢かれて倒れているのを発見するのがマコトではなくキダ
- ラストのプロポーズ大作戦のシーンが色々違う|黒人ボディーガード登場
- マコトがキダに最後のプロポーズ大作戦の計画を詳細に説明するシーン
- 最後のプロポーズ大作戦終了後「シロタ」という人物が轢き逃げされる
- その他、細い違い多数(本記事後半でまとめて解説します!)⇒今すぐ見たい人はこちら(ジャンプします)
もっと細かい部分も含めますと、実際にはこの何倍もの数の違いが発見されましたが、それをすべて取り上げてしまうと収集がつかないので、一応今回は以上の中からいくつか選んで解説したいと思います^^;
板金塗装屋の新しい名前を「AUTO SHOP JIM」にした理由を説明するシーン
映画版でも二人が工場に新しい看板を貼り付けるシーンがありますが、原作内では、その名前の由来が説明されています。(ちなみに旧名称は「有限会社宮沢板金塗装」です)
新しい屋号となる「AUTO SHOP JIM」はマコトが命名するのですが、そこにはちゃんと意味が込められています。
「AUTO SHOP JIM」の”JIM”というは、1955年に公開されたアメリカ映画「理由なき反抗」の主人公の少年の名前で、”これから大資本の大手カーショップと勝負していくんだ”というマコトの熱い思いが反映されています。
二人が勤めていた工場は小さい会社ですから、大手チェーンと勝負するには、理由なき反抗のジムのように多少の無茶も必要、ということのようです(笑)
ヨッチの親に関するエピソード
原作では、ヨッチの幼少期のエピソードが出てきます。
幼い頃、ヨッチは病気が原因で実父と死別しており、その後母親が再婚した相手がギャンブル好きの酒乱だったため、家庭内が荒れ、学校でもいじめられるようになり、転校することになりました。
そのタイミングで母方の実家に預けれたヨッチですが、母親が一緒に着いてきたわけではないため、実質捨てられたようなカタチとなってしまったわけです。
中学校時代、ヨッチが教頭に噛み付くシーン
中学校時代のワンシーン。
「君たちの未来は無限に広がっている。努力をすればした分だけ、明るくて幸せな未来が開ける」
朝のホームルームに回ってきた教頭のその言葉に対し、「1日あれば世界は変わる。2日あったら、宇宙がなくなってもおかしくない」と、ヨッチは噛み付いていきます。
ある日突然、当たり前の日常が崩れ去る経験をしてきているヨッチならではの考え方です。
キダの両親が亡くなった時の様子を語るシーン
原作では、キダの両親が亡くなった時の様子が語られます。
キダの両親は、彼が小学校に上がる直前に事故で亡くなりました。二人が乗った車の前を走るトラックの積荷が崩れ、鋼材が荷台から滑り落ち、それがそのまま両親の乗る車を押しつぶしたのです。
しかしキダは、両親がいなくなってしまったことをことさら悲しむこともなく、人生を辛いものだと思ったこともない、とヨッチに語ります。
キダの友達の名前が出てくる
映画版では、基本キダ、マコト、ヨッチの三人のみの世界ですが、原作では名前だけではありますが、キダが二人以外で一番仲の良い友だちとして「サエキ、コンちゃん、ミチル、コジケン」という名前が出てきます。
四人は、マコトがヨッチにクリスマス・イヴの日にサプライズで指輪を渡す際に、パーティーに呼ばれていたメンバーです。
最後のプロポーズ大作戦終了後|轢き逃げされた「シロタ」という人物
最後のプロポーズ大作戦が終わり、キダが一人で道を歩くシーンは映画版でもありますが、原作はそこで意味深な場面が挿入されています。
キダが一人でいるところに突然パトカーがやってきて、二人の警官が降り、キダに話しかけてきます。
「なにかあったんですか?」と聞くキダに、警官は「人身事故があって加害者が逃走中」だと答えます。そして、その被害者の名前が「シロタ」だと言うのです。
キダは漢字で「城田」と書きます。つまり、轢き逃げにあった被害者の名前がなぜかキダと同じ?と思わせる場面です。
しかしその時、警官に身分証の提示を求められたキダはの免許証には「澤田マコト」と記されていたのです。
すべてを失ったキダは、自らの名前を捨て、新しい道を歩み始めた、、、、 そんなラストシーンです。ちなみに、続編小説「彩無き世界のノスタルジア」でも、キダは「澤田マコト」を名乗ります。
その他の細かい違い
これまでご紹介した「原作にしかなシーン」に加えて、その他にも微妙な違いが多数ありますので、その中から一部ご紹介します。
- マコトの仕掛けるどっきりが若干過激
- キダの高校時代は野球漬けだった
- キダがマコトにつけたあだ名「ドッキリスト」(キダは「ビビリスト」)
- いつものファミレスの名前は「ミルキーミルキー」
- マコトはナポリタンにたっぷりのチーズ&タバスコに反対(キダは好き)
- リサの父親は国会議員ではなく大手飲食店グループの社長
- ヨッチの性格がワイルド|野球観戦「ピッチャービビってる!」
1:マコトの仕掛けるどっきりが若干過激
映画では登場しなかったマコトのちょっと過激なドッキリを2つ紹介します。
●タバコに花火の火薬を仕込む
●タバスコと「世界一辛い唐辛子”ブート・ジョロキア”」をすり替える
どちらも被害者はキダです(笑)
2つ目の”ブートジョロキア”という唐辛子はちゃんと実在します。あの有名なハバネロを越えたのだそうです^^;
北インド(アッサム州、ナガランド州、マニプル州[2])およびバングラデシュ産のトウガラシ属の品種である。2007年にギネス世界記録でハバネロ(およびその栽培品種レッドサヴィナ)を抜いて世界一辛いトウガラシとして認定された
引用元:Wikipedia
調べてみたところAmazonでも売っていました。
【無選別】ブートジョロキア 超激辛一味唐辛子 15g 2007年ギネス認定世界一辛い唐辛子
2:キダの高校時代は野球一色だった
映画版ではまったくなかった設定ですが、原作のキダの高校生活は野球漬けだったようです。
残念ながら、地方予選で格下の相手に敗退し、甲子園出場の夢は叶いませんでした。。
3:キダがマコトにつけたあだ名「ドッキリスト」キダは「ビビリスト」
原作では、キダはマコトに”ある種の畏怖と、少しの尊敬の念、溢れ出る恨みつらみ”を込めて「ドッキリスト」というあだ名を付けます。
そして、どんな些細なことにも「ふわあ、、!」と驚いてしまうキダをヨッチは「ビビリスト」と名付けます。
4:いつものファミレスの名前は「ミルキーミルキー」
このファミレスは、映画版でも高校時代のシーンで出てきますが、原作ではキダとマコトが大人になるまでずっと通い続けており、名前が「ミルキー・ミルキー」と言います。
ちなみにこのファミレスは「名もなき世界のエンドロール」の続編、行成薫著「彩なき世界のノスタルジア」でも登場します。
5:マコトはナポリタンにたっぷりのチーズ&タバスコに反対
映画版では、大人になったマコトのナポリタンを食べるシーンがありましたが、原作では、いつまでも「たっぷりチーズ&タバスコのナポリタン」を好んで食べ続けているキダに、マコトは苦言を呈します。
それに対しキダは、「義務だよ義務。知ってるだろ。もういい加減ほっとけよ。」と返します。
ミルキーミルキーに二人で来るたびに、このやりとりが繰り返されているようです(笑)
6:リサの父親は国会議員ではなく大手飲食店グループの社長
映画版では、リサの父親は国会議員でしたが、原作では大手飲食店グループの社長という設定になっています。
基本的に「金の力ですべてを解決しようとする」という点では、大した差はありませんね。
7:ヨッチの性格がワイルド|野球観戦「ピッチャービビってる!」
原作のキダは、野球漬けの高校生活を送っていましたが、彼の野球の試合を観客席から応援するヨッチが、かなりワイルドな感じで描かれています。
「ピッチャービビってる!」「ホームラン打て、ホームラン!」と、雨の中制服姿でズブ濡れになりながら叫ぶシーンがあるのです。
映画版のヨッチの印象とはちょっと違う感じがしました^^;
まとめ
本記事では映画「名も無き世界のエンドロール」の原作版との違いについてお伝えしました。
記事内ですべての相違点をお伝えすることはできませんでしたが、映画版を観てまだ原作はチェックしていないという方にとっては、色々と楽しめる部分があると思うので、機会があればぜひチェックしてみてください。
▼続編小説はこちら
最後までお読みいただきましてありがとうございました!
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